初現場


行ってきました置き手紙イベ。
美貴ちゃん美貴ちゃん!
以下、長いですがレポというか作文。
文中のKは彼女です。







AM8:10起床。Kはもう先に起きていた。
10時には大分遅れてニットーモールに到着。
何とか整理券を貰えた。スタッフはあと5人です、と言っていた。私達はギリギリだった。





前日から不思議と落ち着いた心持ちで過ごせていたのだけれど、
整理券を貰い時間潰しに飯屋に入った時には、どうやら酷く緊張していた。


食欲が無いのは、暑さと家を出る前に食べた残り物の甘い甘いミスタードーナツのせいだと思った。
落ち着かないけれど、減煙を決めたのでタバコは食前と食後に二本だけ。


1時になったので一階会場へ向かった。
人が沢山居た。
皆、ミキティを見に来たんだと思った。
一階ファミリーコートの中も、その周りにも、吹き抜けの二階の手すりにも、沢山の人が居た。
若者や家族連れやカップルが、ミキティの登場を待っていた。
私はKの手を握った。


普段ここで行われるイベントは、用意された椅子での座り見が主だったような気がしたので、私は椅子に座れるのかなと思っていた。
けれど優先エリアと呼ばれたスペースには椅子は無くシートが引いてあった。
立ち見なのかな、と思った。
(正確には緊張の為その時にはそうは思わなかったけれど)
そこにヲタ達が腰を下ろしていって、最後の方だった私達も中に入ると後ろの方に座った。
私は背が低いから、座って見られる事に安心した。


長ったらしい説明の間、私はステージの横に設置された控えのスペースを見て、そのカーテンの奥にはもうミキティが居るのだと思い、何だかおかしくなった。
彼女が私達の目の前に登場するのは何分か先の事で、
初現場の私がミキティがここに居ることを実感するのは数分後の事で、
でも、私達とミキティは今確かに、同じ空間に居るのだと思った。
だから私は、彼女を目にする前に彼女の存在を認める事になった。
そこにミキティが居るのだ。
彼女は今鼻をかんでいるかもしれないと思った。


挨拶のおっさんが一度引っ込み一分程経ってまたステージに上り、それではご登場頂きます、と言った。(多分。覚えてないけど。)
薄緑色のカーテンが動き、中からミキティが出てきた。


拍手をしながら、私は正直何の実感も無かった。
眼鏡を掛けているからか、一枚のレンズを隔てた向こう側に居るミキティは、まるでテレビの中に居るようだった。
私はまだDVDを見ているだけなのかもしれないと錯覚するくらい、現実感が無かった。
私の弱い視力では、彼女の輪郭をリアルに捉える事が出来なかった。
ブラウン管の向こう側に居たそのままのミキティが、私の前に現れた。


「もう最近は埼玉に住もうかなと思っている、藤本美貴です」
と、確かそんな風に彼女は挨拶した。
一昨日も埼玉の上尾でイベントがあった為、埼玉に来る機会が多くて、との事だった。
今まで熊谷に来ることは無かったので、来れて嬉しい、と言ってくれた。
「あついぞ、熊谷」と、熊谷市の謳い文句を言ってくれた。嬉しかった。


初めて生で聴くミキティの歌声は、狭いホールの中で発声され、私の耳によく届いた。
置き手紙ワンハーフ、
MC、
幼なじみ、
MC
遠い恋人、
MC、
置き手紙フル、
ととても短い時間だった。


遠い恋人の最後の「逢いたくて」の「た」を少し速く歌ってしまい、そのあと彼女は間違えたと言って笑っていた。
最後の置き手紙の曲中、前の方に座っていた赤ちゃんが泣き出してしまい、ミキティは少し赤ちゃんを見た。
声を掛けたそうだなと思った。でも、曲中だった。


置き手紙を歌い終わるとすぐに、また挨拶のおっさんが出てきてミキティはステージを降りた。
握手会が始まると、私はさっきより格段に近い距離でミキティを見る事が出来た。
それでもまだミキティを見てるという実感は湧かなかったけど、よりはっきりした姿を確認する事が出来た。
ミキティは可愛かった。
恥ずかしいから、と私もKも握手をする気は無かったのだけれど、すぐ傍でミキティを見ながら散々グダグダした後、記念にと置き手紙を買って握手券をもらった。



グダグダしてる間に、何度も笑って頷くミキティが見えた。
中学生くらいの女の子に、聞こえづらいらしく「ん?」という表情をしたあと顔を近付け何度も頷くミキティが見えた。
ガッツポ−ズをとるミキティも見えた。
私は何を言おうか考えたけれど、とくに気の利いた言葉は思い浮かばなかった。
私達の番になり、ミキティが大好きなKは私の10倍くらい緊張していて挙動不審だった。
顔が見られなかった、と後で言っていた。
Kが緊張から高速握手の如く早々に手を放してしまい、すぐに私の番になってしまった。
私は「(歌)良かったです、ありがとうございます」ととても小さな声でわけのわからない事を言った。ミキティもわけがわからないといったような表情をした気がする。
一応笑ってはいたけれど、他の人に向けていたような優しい笑顔は見られなかった。
ちょっと死にたくなった。
後になってから、「GAMも待ってます」と言えば良かった、と思った。
言わなくて良かったとも思った。


私とKは握手が終わってからも、コート内で事が完全に終わるのを待っていた。
待っていたら、最後の挨拶があった。
待っていて良かったと思った。
既に大体の人は帰ってしまっていて、残っていた何人かを前にステージに立ったミキティが挨拶をしてくれた。
人が少なかったので私達も目が合った。
歌の間は見られなかったけど、ミキティは赤いふわふわした大きなスリッパを履いていて、それがとても可愛かった。
おばさんが前の方で物凄く手を振っていた。ミキティは笑って振り返した。
本当にミキティがステージから降りる時、皆が手を振った。
Kも大きく振った。私も小さく振った。
ステージからはけたミキティは、数人のスタッフとともに早足で傍のベビー服店のバックへ入っていった。
ワンピースにふわふわスリッパのミキティがスタッフに守られながらベビー服店へ入っていったのが、子供みたいで何だか可愛かった。


イベントが終わってから、Kがミキティは思ったより優しそうだった、と言った。
確かに予想していたようなキツい印象など無く、ミキティは始終優しい雰囲気を漂わせていたと思った。
あの優しそうな彼女が悪態をつく様子を想像して、成程ツンデレだと思った。